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株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.016】関係の形成:『先生は事業を知らない』とは言わせない!:総論編
             

  時々、関与先から『士業先生は事業を知らない』という目で見られることがあるかも知れません。あるいは“先生方との面談に際して経営者が熱心になっていない(感謝していない)”と感じてしまうこともあるかも知れません。
  しかし、士業先生は本当に“事業”を知らなければならないのでしょうか。もし、そうだとしたら、“何をどの程度”知る必要があるのでしょう。そんな基本的なテーマについて、改めて考えてみたいと思います。 

             
   
    【01】 将は己を知る者のために死ぬ?
   
        あまりにも有名な中国の“三国志”の物語の中で、勇猛果敢な武将たちが“主(あるじ)を替える”話が出てきます。場合によっては、旧来の主人を裏切り、敵方に寝返ることもあります。そして、そんな時『将(自分)は本当に自分を知ってくれる主人の下で命がけで戦う』と主張するわけです。
  これは一見、大きな組織での教訓のように聞こえるかも知れません。部下は、仕事の内容も現場も知らない上司のためには、決して心を込めて働かないからです。それどころか、そんな上司は事務員にまで“軽蔑”されるでしょう。
       
   
    【02】 武将に限らず…
   
        三国志の“将”の話は、決して“武将”の世界に限ったことではありません。“商人”の世界でも“職人”の世界でも、時には“親子関係”ですら、私たちは“自分を知ってくれてはいない人を尊重しない”傾向が強いのです。
  子供は親に『どうせ俺のことを分かっていない』と責め、親は子に『私の気持ちが分からないのか』と嘆きます。それは、私たちの“基本的な心の営み”なのかも知れません。そして、私たちを取り巻くビジネスにも、同じことが言えるのです。
       
   
    【03】 ある士業先生が…
   
        ある士業先生が、『事業を知らない』と言われ、その経営者が属する業界の研究を始めたことがありました。業界が直面する課題や市場問題などを、インターネットや書籍で“勉強”したのです。ところが、それで何かが変わるとは思えません。勉強した内容を話題にする機会もありません。
  ところがある日、『今度、業界が自主規制を始めるそうですね。御社はどうされるのですか?』と何気なく聞いてみたのです。突然、経営者の姿勢が変わりました。身を乗り出すように、“自分の考え方”を話し始めたのです。
       
   
    【04】 『事業を知らない』と言う経営者の本心
   
        しかも、その日の別れ際の経営者は、本当に満足そうでした。そればかりか『先生、ありがとうございました』と言ったのです。気分的な問題かも知れませんが、『今までにはなかった言葉だった』そうです。何が経営者の“琴線に触れた”のでしょうか。
  それはもちろん、業界の自主規制で、その経営者が“新たな苦労を抱えていた”からです。そして、先生が自主規制を“知っている”ことで、自分の苦労を“分かってもらえる”チャンスが芽生えたからです。もちろん、その人の“度量”にもよりますが、“自分の苦労を分かってもらえる”ことは、多くの場合“自分が理解された(知ってもらえた)と実感する一瞬”なのかも知れません。
  経営者が『事業を知らない』と他者をなじる時は、事業を知ってほしいのではなく、自分の苦労を理解して欲しいのだと考えれば、やるべきことが見えてくるのではないでしょうか。
       
   
    【05】 それが“信頼”の素?
   
        しかも、“自分を知ってもらう”と、武将なら命を捧げるほど主を信頼するのです。経営者なら、士業先生を“師”とする信頼に至るかも知れないということです。一般的にも、相手が特別の大物でないなら、“その人の苦労を知る”ことが“その人を知る”ことになり、その結果、その人から“信頼を得る”ことになるのでしょう。
  では、相手が“大物”ならどうなのか…。“大物”は普通、『自分のことは理解され(るはずが)ない』という覚悟と自負の下で働いていますから、“苦労を理解”しようなどとすると、“燕雀(小さな鳥)いずくんぞ鴻鵠(こうこく=大きな鳥)の志を知らんや”などと距離を置かれるかも知れません。
  さて、では“(一般の)経営者の苦労を知る”とはどういうことなのでしょうか。
       
   
    【06】 1つを知って実践的に手伝う!
   
        結論から申し上げれば、“苦労を知る”とは実は“1つでも手伝えること発見する”ことに他ならないと申せます。他者の“苦労の全容”などは理解のしようもありませんし、“苦労を知っていると伝える”だけでは、何となく偽善的だからです。逆に、1つを知って実践的に助ける…、たとえ実際に手伝うチャンスがなくても、いつでも手伝えるという姿勢をとり続けると、経営者には『分かってくれている先生』になりやすいのです。
  ただ“手伝えること”を発見するのは、かなり親しい間柄でも“難しい”し、そうでなくても“面倒”になることが少なくありません。そのため、私どもでは“経営上の気付きを促進する月例レポート”の配信をお勧めしているのです。
       
   
    【07】 気付きの手伝い?
   
        経営者にとって、“社内外の問題に具体的に気付く”ことは、決して小さな仕事ではありません。自分で取り組もうとしても容易ではないのです。そんな時、マネジメント現場事例の豊富な気付きレポートを受け取ると、“自分が考えるべきことを手伝ってもらった”という印象を得やすいのです。
  事実『先生からは、毎月、様々な気付きを頂いています』と言う経営者も少なくありません。そして、そんな経営者は、先生方への姿勢を大きく変えているはずです。自分の“気付きを手伝ってくれる人=自分を知ってくれる人”という構造の中で、一歩踏み込んだ信頼関係が形成されるからでしょう。
       
   
    【08】 詳細は“各論”で…
   
        ただし、気付きレポート発信は、誰に対しても効果があるとは限りません。また、月例レポートに留まらず、顧問契約やスポット契約の獲得まで意識する時、もっと深く“経営者を知る”必要はないのでしょうか。
  このテーマは、先生方の業界によって少し事情が異なるため、次回、各論の中でご一緒に考えたいと思います。
       
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