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会計事務所、マーケティング、コンサルティング、ヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.108】 生産性向上:日常業務や創造的な仕事の“生産性”を向上させる秘訣とは?
             

 生産性向上は、競争激化対応上の必要性ばかりではなく、時間的な余裕を作り出すためにも重要な課題です。もちろん生まれた余裕は、改めて将来を考える時間になるばかりではなく、“余暇”等に活かすこともできます。
 ただ、この生産性向上への取り組み程“やっかい”なものはないかも知れません。案外“難しい”からです。 ところが“他者”、特に“関与先企業”等の生産性向上を考えてみると、意外にも、その要点が見えやすくなるばかりではなく、自事務所の“方針”も立てやすくなるようなのです。
 なぜなのでしょうか。“生産性”向上テーマでは、あまり取り上げられることがない“現実的”要素から、アプローチしてみたいと思います。


             
   
    【01】たとえば“なぜデスクは片付けにくい”のかと考えてみる
   
       机の上は、最も雑然としやすい場所の一つかも知れません。あるいは、オフィスや自宅も、油断をすると片付かない状態になりがちです。車の中も、パソコン中のファイルでさえ、同じような状況に陥りやすいかも知れません。
 なぜなのでしょう。その背景には、実は“時間”と“空間”の錯綜問題があると申し上げると、荒唐無稽に聞こえるでしょうか。たとえ、そう聞こえても、一旦“浮世離れ”をしてしまうと、片付かない現象の“問題の素”が見え始めます。そして、それが“生産性の課題”にも繋がっていることを、強く“感じる”ようになるのです。
 そこで、早速“時間”と“空間”の話題から、入って行きたいと思います。
       
   
    【02】“時間”から思い切って“空間”へ離脱しよう!
   
       時間とは、申し上げるまでもなく、過去から現在を経て将来に向かうベクトルを指します。そして私達は“現在”に生きており、“現在”に働きかけることしかできません。もちろん、今“将来の準備”をすることはできますが、その準備を“将来”使わないなら、将来になっても、何も変えられないはずだからです。将来は、それが“現在”になるまで、働きかけは不可能なのです。
 ところが、この“現在”は空間を持っています。広くは今の宇宙やグローバルな世界ですが、事務所や家庭、取引関係や人間関係、あるいは“仕事の多様性”も、空間的に存在します。“空間的”と言うのは、その気になれば、何にでも働きかけられるということです。
 私達は“今”という空間にいれば、仕事や人間関係を“選ぶ”ことができるのです。
       
   
    【03】なかなか仕事が進まない時に考えるべきこと
   
       ところが、選んだ仕事や人間関係の中には、時間の要素、つまり“過去からの経緯や将来性”が混じり込んでいるのです。今、ここで必要なことは、もしかしたら、そんなに多くはないはずなのに、時間が仕事を増やすことさえあります。過去の後始末将来への備え等、“今”が抱える時間的な要素のウェートは、何と大きなことでしょう。
 心の中も同じです。過去の成功や失敗が、今の自分に“ああでもない、こうでもない”と勝手な語り掛けを続けます。その一方で、将来が“様々な不安”を呼び起こす形で、“あれもしなければならない、これもしなければならない”と、ささやいて来ます。
 だから忙しいし、余裕が失われて、ストレスが溜まるのかも知れません。今必要なことを今するだけなら、結構、私達は“余裕”を持てるのではないでしょうか。
       
   
    【04】過去からのしがらみと先行きの不安から抜け出す起点
   
       しかし、そんなSF的な話では、現実味がありません。私達にとって、現実はまさに“時間と空間の錯綜”そのものだからです。ただ、上記SF的発想から見えて来るのは、“時間の要素を軽減”すれば、私達はもっと余裕を持って仕事ができるのではないかという“現実”ではないでしょうか。そこに、何か“余裕の素”がありそうなのです。
 更に言うなら、過去のしがらみと将来の心配がないなら、私生活はもちろん、ビジネス上でも、業務量は大幅に減りそうですし、迷いがなくなる分、かなりのスピードアップにも繋がりそうなのです。
 そんな発想を抱きながら、生産性が高い人の日常や仕事ぶりを観察すると、確かに、その人達は“時間の要素を軽減している”ことが分かります。
       
   
    【05】整理整頓や生産性を促進するシンプルな習慣
   
       しかも時間の要素の軽減という、何やらSFめいた発想は、“始めたことは可能な限り完成させる”という、非常にシンプルな習慣で実現されるのです。たとえば、机や部屋のなら、”出したもの”は、使い終わった時、必ず素の位置へ、その都度片付けるという習慣だけで、わざわざ“整理整頓”をする時間やエネルギーを軽減できます。今という空間に、少し働きかけることで、将来という時間の中で生まれる作業がなくなるのです。
 そんな習慣がなければ、次の行動は、以前の時間の影響を受けたままでスタートすることになり、まずは“周囲にある不要なものを片付ける”ところから始めなければならないからです。
 もちろん、『いやあ、いつも使うものは出しておけばいいじゃないか』と言いたくなります。ところが“いつも使うもの”は、案外多く、使うパターンも同じではないので、今度は“出したておいたもの”の中から、必要なものを見つけ出す手間が生まれてしまうのです。
       
   
    【06】“やりかけ”放置が生産性を害する真犯人
   
       同じように、仕事も“やりかけ”にすると、厄介さが増してしまいます。たとえば、関与先から『節税策を教えてくれ』と依頼されたのに、そのままにしていると、それだけ“今という空間に過去(時間)からの宿題”が溜まることになります。関与先の“記帳”方法をただすための、わずか“5分”の行為が、節税の回答が遅れた釈明と、その内容解説を行わなければならなくなるために、結局、小一時間に及んでしまうかも知れません。
 “決着を付けていない仕事”つまり“時間の要素を強く持つ業務”があると、今という空間を悠々と自由に生きられなくなると捉えてみる必要があるわけです。そしてそんな“未決の中に潜む”要素が、今の生産性を大きく下げる要因になっているわけです。
       
   
    【07】時間的経緯がもたらす重荷を一気に軽減する方法
   
       逆に、仕事を“もうそれ以上完成させる必要がない”形にすると、それは“時間の影響”を逃れ、今の“空間”の一部になります。
 たとえば、A社に対して回答した“節税法”を、自所独自の“節税観”をも踏まえ、完成度の高い文書やメール文にしておくだけで、B社からの問い合わせに、宛先を変えるだけで“援用”することが可能だからです。
 文書化するには手間が掛かるかも知れませんが、文書なしで関与先に“分からせる”のも効率的だとは言えません。しかも、“文書”か“口頭”かは、2度目以降に格段の差を生むのです。
 もちろん文書化しなくても、“考え方を頭の中で整理”しておくだけで、2度目の説明は、小一時間ではなくなるでしょう。生産性が格段に上がっているわけです。
       
   
    【08】始める必要があること以外には取り組まない姿勢
   
       ただ、あらゆる可能性に備えて考え方をまとめておこうとする必要はないと思います。それは、過去ではなく、今度は“将来”という時間を今に持ち込む結果になるからです。完成させるのは、“今という空間”の中で始めたこと、あるいはやり残していることで十分なはずなのです。
 そして、そんな風に割り切ると、関与先から“無理難題”を持ち込まれた時も、『よし、時間がかかっても、この関与先を納得させてやろう』と、前向きに完成度を高めておく意欲が生まれるのではないでしょうか。そうしておくと、次の難題発生時が効率化するばかりではなく、更なる飛躍の可能性が生まれることが多いからです。
 しかも、単なる不安への備えではなく、実際に依頼された内容に取り組むのですから、逆に将来の関係悪化等の懸念を払拭する効果も期待できます。
 更に“飛躍の可能性がある”と申し上げたのは、その“完成度の高い概念”、たとえば“手間を掛けずに意味のある予算を作る方法”を整理したメモ等が、そのままセミナーのテーマになるし、有料提案の土台になり得るケースが少なくないということです。
       
   
    【09】あっと言う間にセミナーや有料提案ができる?
   
       突然、金融機関からセミナーを依頼されても、あっという間にストーリーと資料を完成させる“先生”は、そんな“生き方”をされているのではないでしょうか。そして、更に“面倒を言われても、その対応の完成度を高め、今度は別の企業に有料提案してやろう”という発想が会計事務所業界に定着し始めると、まさにそれが、会計事務所の新たな収入源になってくれるはずなのです。
 決算に特化した顧問契約という“過去からのしがらみ”は、徹底したシステム化で“サービス内容”を効率化しながら確立してしまう一方で、人材不足、特に参謀不足の中堅中小企業経営者が“喉から手が出る”ような経営管理サポート業務を蓄積して行く時、先行きを過剰に心配しなくても、悠々と時流を乗り切るベースが、事務所内に形成されているとも期待できるのです。
       
   
    【10】“とことん”姿勢がもたらすムダの少ない日常
   
       ただ、『完成度を高めても、それはすぐに手直しが必要になるのではないか』と言われるかも知れません。そして、それは確かに現実です。しかし、その時も“使える程度の時間的劣化”なら、そのまま使うという“寛容さ”が生産性を維持します。
そして“一旦手直しを始めたら、とことん完成させる”という姿勢があれば、将来の生産性を大きく高める要因にもなり得るはずなのです。確かに“とことんやる”という発想は“しんどい”という側面は残るでしょう。
 むしろ、それが“良い”ところで、“とことん”方針に従うなら、そこまでやる価値を感じない仕事や手直しには、始めから取り組まなくなるのです。余計なことをしない分、生産性は上がります。
 机や部屋を見渡して、この空間は過去の遺物と将来の不安で混沌としているのではないかと“感じる”ことができれば、もう生産性向上のスタートは切れたことになると思います。もちろん、そんな感性の話ではなく、もっと実務的に生産性向上を捉えたいというケースでは、実務を真面目に対象にした講座をお勧めしたいと思います。
       
   
    【11】補足:他者の生産性指導がもたらすメリット
   
       自事務所の生産性について、考えや視点がまとまらない時は、是非、関与先を含め、“他者の指導”を試みていただきたいと思います。
他者の時間は、なかなか見えません。その人の過去のしがらみや将来の不安は、見えにくいからです。そして、その分“その他者の現在”、つまり“他者の空間”が浮き彫りになります。
  空間発想をとる限り、他者の問題や解決の方向性は、当人より“他人”の方が捉えやすいケースが多いのです。そして、実は、これが“コンサルティング”や“カウンセリング”の存在理由でもあります。コンサルティングやカウンセリングは、過去や将来に“過剰”に組み込まれた“現在”を、出来得る限り“必要な空間”だけに絞り込んで行く“過程”に他ならないのです。
 そして、これを知るだけで、こう言って良ければ、明日からでも経営コンサルティングが可能になる気がして来るのではないでしょうか…。
 人の“能力”のあらわれ方は、本当に不思議なものだと思います。
       
       
   
◆いいヒントサイト事務局よりお知らせ

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