社会保険労務士、社労士、マーケティング、コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
     

社会保険労務士事務所、社労士事務所、マーケティング、コンサルティング、小さなヒント

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.089】経営指導:“生産性”の話題で関与先を“リード”するための基本視点
             

  “働き方改革”という歴史的挑戦の中で、しばしば“生産性”が話題になります。生産性が高ければ、もっと労働時間を減らせるとか、生産性が低い企業は淘汰されてしまうとか、あるいはかつての生産性の高さを取り戻そうとか、様々な視点から、改めて生産性の重要性が語られると言うことです。
  しかし、そもそも“生産性”とは何なのでしょうか。統計的な計算方法は知っていても、その“本姿”を捕まえそこなうと、生産性の低下に歯止めをかけられないばかりか、生産性向上のために“何”をすればよいのかという見当もつかなくなるのではないでしょうか。
  そこで、まずは《生産性の本姿》について、改めて考えてみたいのです。

             
   
    【01】 生産性は効率と“どう”違うのか?
   
        当時の言葉で“ホワイトカラーの生産性”が注目を集めた1990年代の初頭、業務の生産性を向上させる“ノウハウ群”のようなものを製作したことがあります。それは、本来《2本の生産性の柱》のうちの1本だったのですが、営業力のある企業の手で“1本目の先行普及”が始まり、それが予想外の展開を示したこともあって、2本目の開発は、そのままになりました。
  今から考えると、それも一つの必然だったかも知れないと思います。なぜなら、当時は“生産性”を“効率”の観点からとらえる発想が、非常に強かったからです。そのため“効率”と、表面的には相矛盾するかのような“2本目”は、むしろ普及させる必要もなかったのかも知れません。
  しかし、本姿としての生産性を考える時は、“ここ”から始めなければならないのです。それは『生産性と効率は同じなのか違うのか。もし違うとしたら、それはどのような違いなのか』という問いです。そして、この問いは、想像以上に、答えるのが難しいのです。
       
   
    【02】 ソロバンとエクセルの微妙な勝負
   
        たとえば、ソロバンの名手がいて、多大な計算をソロバンで実践したとします。その人にとっては、ソロバン作業の方が、エクセルの表計算よりも“はるかに効率的”でしょう。その選択は理にかなっています。
  しかし、その計算が“毎回同じような形式”で繰り返される時、エクセルの表計算は、圧倒的な強さを示し始めるでしょう。初回の表組みや計算式の記入等には時間がかかっても、2度目以降は“コピー”機能が威力を発揮しますし、そうでなくとも数値を入力した瞬間に“答”が出ているからです。
  ただ、“だからエクセル圧勝”とも言い切れません。“答”が検証できない時、あるいは間違いだと分かった時、エクセル上での間違い探しは、決して容易ではないからです。『ああ、ここの計算式が違っていた!』という発見までの道のりは、短いとは限りません。
       
   
    【03】 1990年代頃から日本に課せられた宿命
   
        さて、では“ソロバン”と“エクセル”は、どちらが《効率的》なのでしょうか。その答は“ソロバン”でも“エクセル”でもなく、『間違いを犯さないこと』ではないかと感じて来ます。どんな方法をとっていても、間違えると、効率は恐ろしく下がってしまうからです。
  ところが、欧米の模倣からの卒業が強いられた1970〜80年代以来、私たちの間には“自分の能力より少し上”を目指す傾向が生まれました。誰もが、それまで体験したことがない“少し上の課題”に対する挑戦を強いられたからです。少し上の課題には、必ずミスが付きまといます。自分の手に余ることをしているのだから当然でしょう。そして、そのミスの発見とリカバリーに、当人ばかりではなく周囲の生産性が“害される”わけです。それが、特に、1990年代以降、日本の生産性が下がり始めた大きな要因の一つでしょう。
  そのため、この点だけを取り上げるなら、『もし、皆が、自分が確実に理解できて、確実に実行できる業務にレベルダウンするなら、生産性は大いに上がる』と言わなければならないのです。
       
   
    【04】 挑戦は必ずしも生産的ではない!
   
        では“難しいこと”に挑戦してはいけないのでしょうか。安易な挑戦なら“いけない”でしょう。それは、試行錯誤という名の“失敗”によって、自分だけではなく、組織全体の生産性を下げてしまいかねないからです。自分の虚栄や嘘で、実力以上の仕事を獲得する時、その人は《生産性に対する加害者》になっていると考えるべきなのです。そのため、冒頭に記した“ホワイトカラーの生産性向上”ノウハウは、業務を確実に遂行可能な形にして効率を上げる方法に徹したわけです。
  それは、ある意味で“レベルダウン”であり、“面白くない”ものですが、組織の生産性は飛躍的に上がります。生産性が上がるだけではなく、組織としての仕事の完成度も上がるでしょう。皆が“少し上”を目指しながら、結果として、素人臭い成果に留まる組織とは、商品やサービスの品質(完成度)に格段の差が生まれてしまうのです。
  たとえばフィギュアスケート競技でも、難しい技に挑戦して失敗するより、自分が確実にできる技に特化して“出来栄え点”なるものをもらう方が、結果がよくなるようなものです。
  では、いかなる場合も“難度の高い技”に挑戦すべきではないのでしょうか。
       
   
    【05】 一旦始めた仕事は完結させること
   
        もちろん、難度の低い技を完全に遂行しても、難度の高い技を貫徹する人には勝てません。そのため、難度の高い技への挑戦が求められるのですが、そこにも“生産性”の概念が顔を出さなければならないのです。
  そこで求められる生産性の概念とは、“どのような難度の技の習得に向いているか”という“‥性の見極め”だけではありません。その当人が“技の習得まで頑張り切る”ことが求められるのです。自分の効率だけを優先して、習得を途中で投げ出すことは許されません。適性の見極め違いがあった時でさえ、“あともう少しで習得できる”というところで諦めてしまうと、そこに“生産性の破壊者”の顔が出てしまうのです。
  あと少しで、この仕事が完成するという時に、たとえば“全館消灯”等で仕事が中断されると、生産性は死んでしまうということです。
       
   
    【06】 “生産性”が常に求め続けるもの
   
        さて、“ソロバンとエクセル”と“フィギュアスケート”の両事例から分かることは、《生産性は完成形を求める》という原則だと思います。完成できないなら、あるいは完成するつもりがないなら、その人が取り組む仕事に生産性はありません。そして、こう考えた時に“生産性”と“効率”の本姿が“別物”だと気付くのです。
  ソロバンの名手の“効率”は、組織の生産性の敵になり得るものでした。なぜなら、組織の他の人を《完成されたソロバンの名手》にすることは、ほぼ不可能だからです。もちろん、その組織の構成員が“エクセルの習得”も難しい時には、エクセルも生産性の味方にはなり得ません。何とかする必要が生まれます。
  その時、さてソロバンかエクセルか、『わが組織に習得が容易なのはどちらか』という“‥性の見極め”が必要になります。しかも、この見極めには、時間を惜しんではいけないのです。時間を惜しむ効率主義は、この“見極め”を端折って、将来に大きな禍根を残します。
       
   
    【07】 時間の惜しみ方が効率主義と生産性では“真逆”?
   
        生産性の概念では、この“時間の惜しみ方”に対する発想も異なります。効率主義が“これから使う無駄な時間”を惜しむ一方で、生産性主義は“過去に失われた時間”を惜しむからです。
  たとえば、もう一歩で契約につながりそうなのに、その後放置した商談や、もう少しで完成する業務や勉強を、そのままにしていることを惜しむのが生産性発想だと言うことです。社労士先生なら、助成金受給の可能性があることを示唆したところ、“助成金の申請手続き”を依頼され、顧問料の範囲内で対応させられたあげく、大変だった割に金額が小さいとしてクレームを受けたような時でも、生産性発想では、必ずしも『今後は、こんな仕事は受けない』とは考ないのです。
  生産性発想は、『助成金申請の事例ができた。今度は、これに少し手を加えて、たとえば助成金獲得法のセミナーを作ろう』というような“ひと手間発想”に向かいます。“無為に失われた”時間から、新たな価値を生み出すためです。“時間を無駄にしない”というのは、今後の目標ではなく、失われた時間の復活を意味するわけです。
       
   
    【08】 業務を分解して捉える習慣の定着
   
        そして、自他の《‥性を見極め》ながら、どんな形であれ《∋纏を完結》することに努め、更に《失われた時間の復活》を試みる《生産性発想》は、もう1つの特質を持つようになります。それは、一口に言うなら、《ざ般海鯤解して捉える》という習慣です。
  たとえば、助成金申請業務のような、比較的シンプルな仕事にも、まず“1)助成金適用条件を含む必要書類を確認する”という業務があります。その次に、必要書類を、先生で作成可能なものと、顧客企業に準備してもらう必要があるものに分類し、“2)顧客企業に資料作成やデータ提出を依頼する”必要が出るでしょう。その際に、“いつまでに”という納期を明示できるよう、“3)申請書提出までの詳細なスケジュールを作る”のも重要になります。そして、“4)申請書類を作成”し、“5)申請書類一式を提出”します。更には、最終的にどのタイミングでどれだけの助成金が受給できそうなのかを“6)関与先に説明”しなければなりません。
  こうして《業務を分解する》と、スケジューリングが容易になります。しかも、材料がそろった後で、“4)申請書類作成”だけを行うなら、特別の時間をとらず、1〜2時間の空き時間に、日程登録をすることも可能です。少しずつ“部分完成”して行けば、多忙な中でも対応できるのです。
       
   
    【09】 生産性の成果は《チャンス拡大の空気》?
   
        その上に、《業務を分解》する発想が身に付くと、関与先にも『これだけのことをします』と提示ができ、有料化提案が容易になるでしょう。関与先は、その業務の重さを知らず、専門家なら、ちょこちょこっとできると思い込んでいる(思い込みたい?)から、無理難題を言うのです。
  こうして、関与先の無理難題が、新たな有料業務提供の機会を生み、しかも受注業務に無理のない日程で対応できるとなれば、顧客対応も大胆かつ柔軟になり、それが更なるチャンスを呼び込む“空気”を作り上げます。
  そして、その時、《‥性を見極め》ながら、どんな形であれ《∋纏を完結》することに努め、更に《失われた時間の復活》を試みる中で、《ざ般海鯤解して捉える》という習慣が生み出す《ゥ船礇鵐抗搬腓龍気》こそが、《生産性の本姿》だと思えるようになるはずなのです。
       
   
    【10】 生産性が持つ《2つの側面》とは…
   
        業務の効率化を意識し過ぎると、無駄のない活動を自分に強いるようになるため、一見《無駄に感じられる業務》が生み出す価値に疎くなりがちです。
  つまり、積極的に“無駄に見える世界”に飛び込んで行き、その無駄に見えるものを価値あるものに“変容させるパワー”こそが、《生産性の本姿》であり、それが、冒頭で触れた《2本目の生産性》なのです。
  1本目の生産性は、無理をせずに完成できることに取り組むところに《本姿》があります。確実にできることに集中するわけです。そしてそれは、どちらかと言えば、従業員に向けられた《生産性の本姿》だと言えるでしょう。逆に、2本目は、あらゆる経験が新たなチャンスに変容する可能性を示唆する《生産性の本姿》であり、経営陣や中核的人材が身に付けるべき課題なのです。
  この両者を取り違えてしまい、無理な挑戦を繰り返して完成形を出さない従業員と、過ぎた経験から新しいチャンスを生み出せない人材しかいない組織は、政府の《企業淘汰政策》の中で、今後益々、厳しい状況に追い込まれることは、避けられないかも知れません。
       
     
◆本トピック関連の教材お知らせ
   ⇒上記のような考え方に基づき、まずは社労士事務所業務の生産性向上
    (チャンス拡大)を考える教材を、ご用意しています。
    その内容は、一般企業にも当てはまるものですので、まずは自事務所
    業務をイメージしながら、企業指導ポイントを整理する題材として、
    ご活用いただきたいと思います。

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