公認会計士、税理士、社労士、保険代理店、生保営業職員、保険営業、マーケティング、コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

会計事務所、社労士事務所、保険代理店、生保営業、ヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.009】取引の拡大:期契約先に“取引拡大”どころか“振り回される”のはなぜ?
             

  1つの保険を売った先に、別の種類の保険を売る《多種目販売》は、保険営業のベテランの皆様でも、必ずしも容易ではありません。同様に、士業の皆様が顧問契約をした先に、顧問契約以外のスポット案件を追加契約するのも難しいのが普通です。それどころか、保険でも士業でも《1つの契約》で次々に《客先に振り回されてしまう》のが実情かも知れません。
  しかし、急いで対策を考える前に、《なぜそうなのか》を改めて押さえておくと、案外《解決への道》も見つけやすいのです。 

             
   
    【01】現代人である私たちが慣れ切ってしまった“不条理”
   
        ある会社で常務取締役を任じられていた時、組織の《不条理》を痛感したことがあります。それは、筆者の仕事の大半が《問題の多い事業部門や担当者》の業務再構築で占められていたからです。他人の世話で、毎日がつぶれたということです。しかも、こう言ってよければ、できない人を指導するより、自分でやった方が早い事項も、決して少なくはないのですが、組織では『それはタブー』なのです。やる気不足や能力不足の担当でも、担当は外せません。
  現代の組織は、そのほとんどが、人材や部門が“排他的な担当業務を持つ”ことで成り立っています。営業は営業部門に、経理は経理部門に“排他的に任されている”わけです。こんな大きな話をするには、もちろん意味があります。
       
   
    【02】“排他的担当制”のようなものがもたらす結果
   
        排他的担当制とでも言うべきものを、疑いもなく受け入れる傾向にある現代人には、一つ《困った性癖》が生まれます。それは『その人が生命保険を売っているなら、それは生命保険専任者なのだろう』という素朴な思い込みです。『決算をしているなら、決算専任者』『給与計算代行をしているならその専任者』と思うのでも同じです。
  高度能力者(その道のプロ)なら、一人で“あれこれできる”という感覚は、驚くことに、担当分業社会に慣れ親しんだ現代人が、《なかなか思いつかないこと》になってしまっているのです。忘れてはならないのは、この感覚です。
       
   
    【03】『いやいや、うちは手広くやっている』と言われる所でも…
   
        『いやいやうちは、多様なサービスメニューを印刷物で案内している』と会計事務所の先生は言われるかも知れません。社会保険労務士先生も、保険営業のプロの皆様も、同様の反論を持たれるケースがあるでしょう。
  しかし、多様なメニューは、それを見る顧客サイドにとっては、《他の同業者よりもすぐれた先を選ぶための肩書》のようなものにほかならず、《最初に選ぶ時》にしか意識されないことが多いのです。『へえ、色々やるんですね。すごいなあ。これなら安心ですよ』とは言ってくれますが、その後、必ずしも、メニューに従って次々注文してくれるわけではありません。
  それでも、色々働きかけるようとすると、『そうそう、あなたは色々できる人でしたよね。じゃあ、やってやって!助かるワ!』と、今度は“無料奉仕”を迫られるのです。『えっ有料?、もう(別の契約で)お金払っているじゃない!』と平気で思える現代人は、決して少なくありません。
       
   
    【04】皆様も案外陥りやすい《分業感覚》
   
        顧客も冷静に考えれば、色々できる人が存在することは分かりますが、分業社会で慣れ親しんだ現代人には、それは《よくよく考えないと分からないこと》でもあるのです。これを忘れるべきではないと申し上げたのです。
  一方、客先ばかりではなく、皆様方も同様の感覚に陥っているかも知れません。たとえば、保険会社の営業推進担当者が『損保代理店に生命保険を売る力はない』と言っているのを聞いたことがあります。『それは、損保代理店の営業法を尊重せず、生保営業スタイルを強要するから、行動できないのでは?』という指摘には、耳も貸してくれませんでした。生保販売(わが分野)に『口出しするな』と言わんばかりです。
  同様に、事業承継は『ああ会計事務所のテーマです』と言う社会保険労務士先生はどうでしょう。承継できる組織を作る支援が、なぜ自分の仕事だとは思えないのでしょうか。人材問題を避ける会計事務所も、経営管理が人材育成なしには成立しないことを忘れているかのようです。
       
   
    【05】私たちの心の底の底にある《思い込み》
   
        皆さん、ご自分の生命保険を買う時、20年も損害保険(自動車保険)を売ってきた損害保険代理店と、昨年生命保険販売を始めた人と、どちらが頼りになると思いますか。私たちは、この《比較》に迷うほど、その《担当領域を示す肩書》に弱いのです。同様に、20年も自動車保険を売った人が、『生命保険には素人だ』と尻込みし、昨年生保販売を始めた人が『自分は専門家だ』と自負できるほど、私たちは極端な《分業社会》に生きているということです。
  難しい言い方をするようですが、この感覚が『最初に契約した業務をその人の専門分野だと思い込み、その他は単なる付加価値で、多分サービスしてくれるものに過ぎない(だって、その他の分野で専門家だとは思えないもの…)』と、客先が感じる《深層心理》になっているとも言えるのではないでしょうか。そのために、多種目販売やスポット契約が難しくなるのです。
       
   
    【06】《思い込み》を破るために不可欠だったスタンスとは…?
   
        こうした限界を打ち破るため、従来から《コンサルタントのスタンス》を持とうとお勧めしてまいりました。《コンサルタント》のスタンスなら、《これだけ広く何でもできる私が、今お勧めしているのはコレです》と最初の契約をし、《その後また、コンサルティング的に見ると、次にはコレが必要ですね》という働きかけが、かなり自然にできるからです。
  そこには《最初の契約内容だけがその人の専門分野だ》という思い込みの裏返しである、《ただメニューを並べるだけの何でも屋では頼りにならない》という感覚への対処でもあるのです。今回は、《提案は一つに絞らなければクロージングが難しい》という類の話はしませんでしたが、専任担当者からしか買わない発想では、一回の提案は一つに案件を絞る必要が出ます。つまりこれも、ある意味で《排他的担当制》が生む感覚の裏側的要素なのです。
       
   
    【07】コンサルティングという言葉にもある《思い込み》
   
        ただ、コンサルティングという言葉は、肩書や付加価値として、使い古されてしまいました。そのため、『通常業務があるのにコンサルティングにも取り組むなんて…』と言われることも少なくなかったのです。しかし、コンサルティングは、通常業務を一つずつ、確実に広げて行くためのスタンスであって、並列的業務ではありません。それは、肩書に終わるものでも、単なる付加価値でもないのです。
  そこで、2010年は、もう一度、気分も新たに、《コンサルティングの本姿を日常業務に取り込む》お勧めに取り組みたいと考えています。ホンマネサイ(会員の皆様の専用サイト)も、もっと分かりやすく再編する予定ですし、従来回避し続けた書籍出版にも取り組みます。
  小手先で解決できる課題ではないところで、様々に壁にぶつかっておられる方が増えているにもかかわらず、小手先のハウツーから一歩掘り下げる努力が、社会全般に不足しているように感じるからです。
     
   
    【08】逆に《現代傾向》を逆手にとれないか?
   
        ただ、ホンマネサイトなどでは、コンサルティング志向以外の《チャンス拡大法》にも取り組んで行きたいと考えています。それはむしろ、《社会が排他的担当制に慣れ親しんでいるなら、むしろその感覚を利用すればいいじゃないか》という思考方法です。
  それは《相談の受け付けや処理能力》を高めて、できるだけ多くの顧客の《相談窓口》になってしまう方法です。窓口が固定される傾向があるなら、徹底的に固定して、顧客を囲いこんでしまおうということです。囲い込むのは顧客に限らず、皆様方の顧客層にアプローチしたい大企業や中小企業、あるいは金融機関や専門機関も、この際《組織化》してしまいましょう。
  具体的な手法や視点は、今後ホンマネサイトで順次、ご紹介して行きたいと思います。
       
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