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株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.021】総合戦略:“展望なき時代”にふさわしい“力強い展望”の持ち方(2)
             

  中堅中小企業経営者が“将来展望”を見失っているため、士業ビジネスも“良質顧客を見失う”形で展望を持てないのだとしたら、今、とるべき道は明確だと言えるかも知れません。
  しかし、その道は“言葉では明確に表現”できても、いざ実践となると、極めて“分かりにくい”道でもあるのです。そのため、明確な“指針”と具体的な“テーマ”なくして進むのは危険かも知れません…。
 ⇒(本テーマの第1話を確認)


             
   
    【01】 視点を変えて自事務所を中堅中小企業の牽引車にするための“自問”
   
        先生方の関与先や新規顧客候補である中堅中小企業経営者を“元気にする素”を作りだす課題に取り組む際、まっ先に行うべきは、先生方ご自身の自問ではないかと思います。その自問によって、“関与先企業を見る目”が変わるばかりではなく、“士業事務所が模範になって中堅中小企業を牽引するイメージ”が湧いてくる可能性があるからです。
  その自問とは『士業事務所は大きくなること(だけ)が成功だと言えるだろうか』という素朴なものです。そして、同時に『では小さくなっても成功はあり得るのだろうか』という問いも必要かも知れません。
  恐らく、答えは両方とも“ノー”でしょう。士業事業で、どんどんと人を雇い、組織を大きくすると、“事務所としての仕事の質が下がる”ことがあります。特に、顧客である一般企業が、“経営は乱暴でも規模拡大で何とかなった”時期とは違い、士業事務所にも、かなりの“質”を求められる昨今、不用意に規模を拡大すると、“一人先生事務所”に足をすくわれかねません。
       
   
    【02】 発展的縮小もあり得ないから…
   
        しかし、逆に『顧問先や関与先の数を減らしても良い』とは言えないでしょう。毎年顧問先の数が減るのに、事務所の収入は安定、あるいは増加しているなどという状況は考えにくいからです。つまり『事務所の規模拡大は必ずしも“良い”とは言えないが、顧客の規模は拡大しなければならない』という“矛盾”が、そこにあることになります。
  そして、こう申し上げれば、改めて指摘するまでもなく、この“矛盾”を解くキーは、残念ながら1つしかないことに気付くのです。そのキーとは“生産性の継続的向上”です。規模を拡大せずに顧客数を増やすには、事務所の“生産性”を上げるしかありません。
  ところが“生産性”の話をすると、『なんだそんなことか』と言われることが多いのです。
       
   
    【03】 新しく柔軟な“生産性向上”発想の原点
   
        それは『生産性向上=業務の効率化』という歴史的な固定概念の下で、“業務の効率化=作業分担=組織拡大”という構図に戻ってしまうからでしょう。生産性を上げるには、大企業が大工場を作るように、組織力が必要になると思われがちです。規模拡大が最も分かりやすい“生産性向上”の答だからです。
  しかし、士業ビジネスの“課題”、あるいは中堅中小企業の“課題”とは、この“歴史的な固定概念”を克服することなしにはあり得ません。つまり、規模拡大も組織強化もなく、生産性を上げられるという“新たな概念”、あるいは“やわらかな考え方”が必要だということです。
  そして、その“新しくやわらかい概念”を一口に申し上げるなら、それは“顧客を事業対象にした展開から、顧客を巻き込んだビジネスにしてしまう”ということです。つまり、顧客を“客”ではなく、“身内同然”にしてしまうことなのです。 荒唐無稽に聞こえるかも知れませんが、『顧客を継続的に賢くする』ことに努めるなら、決して不可能ではありません。
       
   
    【04】 秘策のポイントは“顧客の意識を変える”ところにある!
   
        先生方の企業経営指導・支援業務が、なぜ面倒なのでしょうか。それは、関与先の経営者や担当者が“基礎知識”や“基本能力”に乏しいからです。そして、知識や能力が不足している人ほど、自分の力不足や失敗に気付かず、すべて“先生の仕事”“先生の責任”にしたがるからではないでしょうか。
  関与先の経営者や担当者に、もっと見識や能力があれば、半日かけて訪問しなくても、電話やメールで事が済むかも知れません。あるいは、何度も何度も“同じ説明”を繰り返す必要もないでしょう。“賢い人には手がかからない”のです。
  ところが、ここで“歴史的な固定概念”から反論が出ます。それは『顧客が賢ければ、士業は不要なのではないか』ということです。
       
   
    【05】 賢い顧客の増加が事務所の生産性を上げる!
   
        それは、本来あり得ない誤解だと思います。あるいは“賢い”という言葉の誤解だと言うべきでしょうか。企業の経営者や担当者には、士業の資格どころか、資格試験の勉強も専門知識も不要です。企業の経営者や担当者に必要な“賢さ”というのは、『これは、自社経営にとって重要な課題だ。しかし、それを自分たちだけで解決するのはかえって危険だ。だから、その道の専門家にお願いしよう』と思えることなのです。適切な判断は賢明さの証です。
  それは事業や経営に限らず、“ヒトのインテリジェンス”の特徴そのものでしょう。インテリジェンスのある人は、『自分に何ができないか』を知っています。逆に、インテリジェンスに欠ける人は、自分に“できない”事を正確に理解できないため、先生方の専門知識によるサポートも、『自分にも、その気になればできること』程度にしか思えず、ひたすら混乱に陥っているのではないでしょうか。
       
   
    【06】 賢者は自らの愚を悟り、愚者は自らをうぬぼれる
   
        “賢者は自らの愚かさを悟り、愚者は自らをうぬぼれる”ものです。だからこそ、愚者の教育は、“自らを賢者と思い込んでいる愚”を破壊することから始まるわけです。
  士業先生が、自らの専門分野の見識を教えても、つまり収支構造(会計)や就業規則の内容を教えても、愚者は自らの愚を悟りません。治療の困難さを知らない患者は、容易に医者を“藪医者”と決め込む一方で、自らの養生責任を果たしません。多くの経営者は、士業先生が事業を知らないとうぬぼれる一方で、士業先生の見識がいかに経営上重要かを悟れないでいるのです。
  そのため、企業経営者が士業先生に敵対せず、自らの愚、あるいは経営責任に気付き、その流れの中で“士業先生の見識によって事業を導いてもらう必要性”に気付く“程度”の“賢者”になってもらう必要があるわけです。
       
   
    【07】 情報発信をベースとした“直接教育”へ!
   
        当会で推進している毎月の経営者向け情報発信(会計事務所版社労士事務所版)は、そのための、つまり“経営者の賢者化”の一貫で取り組むものですが、今や、もう一歩踏み込んだ“直接教育”が必要になっていると思います。あるいは、特に、情報発信でネットワークを作った先生方には、もう一歩踏み込んだ“直接教育”に取り組める環境ができてきたはずだと申し上げるべきかも知れません。
  そのため、2011年2月から、会員専用サイトでは“経営者の直接教育”をテーマに、具体的方法のご提案を進めようとしているわけです。もちろん“具体的”であればあるほど、先生方のご事情を考慮する必要があるため、個別のご相談も、進めさせていただいています。更に、直接教育は“単なる付加価値”では迫力がありませんので、様々な形で、先生方の“有料研修メニュー”に育てて行くものです。
       
   
    【08】 今日的意味での“生産性”とは?
   
        士業ビジネスの将来展望は、単純な規模拡大ではなく、生産性の向上でしょう。そして、生産性の向上、つまり、より多くの関与先をより小さな負担で指導・支援する活動は、先生方の見識の更なる“実践的バージョンアップ”とともに、“顧客を賢くする”ことで実現へのスタートが切れるものです。
  そして、自らのプロ性を深めながら、顧客の理解を促して行く“柔軟な生産性向上”は、中堅中小企業全体の“展望”を高める起点になるはずなのです。なぜなら、一般企業も、同じようにして生産性を上げ、規模にこだわらないで“社会的強者”になる道を“実践的にイメージ”できるようになるからです。つまり、先生方がご自身のビジネスの生産性向上に、今日的なスタイルで取り組めば、それがまさに、今後の中堅中小企業の“あり方”を具体的に示すことになるわけです。
  規模の成長ではなく、生産性の向上を“成功基準”として計測するようになれば、経営者は内部管理や組織運営に、従来にはない興味を示すでしょう。そして、単なる拡販ではなく、一見内部強化にしか見えない生産性向上策が、今日的な最大の“業績改善”だと理解するようになるでしょう。
  ただし、先に進む前に、今日的な“生産性”とは何なのかについて、次回、確認しておきましょう。
       
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