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会計事務所、社労士事務所、保険代理店、生保営業、ヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.002】関係の形成:《キーマン面談》が本当にそんなに重要か?
             

  いわゆるビジネス用語に“キーマン”という呼び方があります。企業なら社長、資産家や一般家庭なら最終意思決定者のことですが、しばしばキーマンとの接触が、ビジネスの基本のように言われることさえあるのです。
  本当にそうなのでしょうか。ここでは“理屈”より、ある新米経営コンサルタントの例をとりあげ、“他山の石”としていただきたいと思うのです。


             
   
    【01】キーマンに会わせてやったのだから…?
   
        ある新米経営コンサルタントは“できる男”でした。そのためコンサルティング会社の社長は、彼をあちこちに連れまわしたのです。特に、金融機関の営業推進コンサルティングを進める同社では、信金の理事長や銀行の頭取と“互角”に渡り合える彼が、“頼もしい存在”だったようです。
  ある日、社長は、彼を信金の名物理事長に引き合わせました。新米ながら無駄口をたたかず、的確な受け答えをする彼に、理事長も好感を抱いたようでした。そこで帰る道、社長は彼に言いました。『面通しはできた。次は理事長とアポをとって営業してくれ』と。
       
   
    【02】“どうしろと言うのか”と叱られて…
   
        新米経営コンサルタントは、“経営コンサルタントの営業って、そんなものか”と思います。そう言えば、社長は朝礼でも会議でも、“キーマン管理”をうるさく指示します。この間は『キーマンと会えない訪問は、時間をドブに捨てるようなものだ』と口角泡を飛ばしていました。
  そして彼は、社長に言われたままに、数日後理事長に電話します。理事長は電話には出て来てくれましたが、途中で怒りだしました。『君、突然そんなこと言われて、僕にどうしろって言うんだ』ということです。『そうだよな?』と、新米コンサルタントも心の中で思います。
       
   
    【03】営業の才能はないのだろうか?
   
        『君は、営業はできないんだね』と社長に決めつけられ、新米コンサルタントは“本当にそうかどうか”試してみたくなりました。そこで今後は、当時“第二地銀”と呼ばれていた銀行の営業推進担当者向けに“書留郵便”を送ります。
  その内容は『書留にして済みません。弊社のノウハウなので…』と断りをつけながら、『一度このノウハウを評価してみて欲しい』という企画書でした。その後、何度か電話でやり取りした後、企画書が“部長”まで行ったことを確認します。
       
   
    【04】結局“頭取”に会えた!
   
        しかし部長は『この種の意思決定は頭取でなければできない』と言い、『頭取に会わせるから、そっちも偉い人を連れて来い』と言います。新米は、社長を連れて行くのが嫌だったので、顧問に同行を願い出ました。顧問は昔の大蔵省経験者で、そのためか、話はまとまりました。
  1回成果が出たからと言って、彼に営業力があると断言はできません。しかし、その行動は筋が通っているとは思います。なぜでしょうか。
       
   
    【05】ビジネスのキーマンは順次“変わる”
   
        それは、ビジネスの段階において“キーマン”は変わるからです。最終意思決定者が理事長なのか頭取なのかは別として、その提案が検討に値するかどうかを決めるキーパーソンは、最終意思決定者ではないでしょう。現場の担当者そのものです。
  また、最終意思決定者に案件を挙げるかどうかのキーパーソンは、この場合は部長でした。そして刻一刻変わって行くキーパーソンそれぞれの“興味や権限”に合わせて、提案の内容やアプローチ方法を変えて行かなければならないのです。
       
   
    【06】実はそれこそが“中堅中小企業経営者”アプローチに応用できる!
   
        そんな大企業向けの話が、中堅中小企業経営者を対象にするビジネスで参考になるのでしょうか。参考にすべきです。たとえば、検討窓口も、中間取次も、最終意思決定も“たった一人の社長”が行う企業でも、3人の人材がつなぐ大企業ケースと決して違わないからです。
  一人の社長も、検討するかどうかを決める時は担当者のようであり、最終決定に持ち込むかどうかを考える時は中間管理者に似ており、最終意思決定時には、まさに社長なのです。“社長=最終意思決定者”だと決めつけて、いきなり“決定を迫る”ような提案をするのは、信用金庫の理事長に、いきなり提案内容を切り出すのと同じくらい“唐突”なのです。
       
   
    【07】3つの顔を持つ企業経営者
   
        まずは、あたかも担当者のように“気楽に文書を受け取る”関係を、顧客経営者との間に築くこと…、そこから始めないと、経営者は信金の理事長のように怒り始めるでしょう。
  月例レポートでも渡しながら、気楽な関係を作って、『ところで、こんな話があるのですが、お持ちしましょうか』と、具体的な提案の概要を提示し、経営者を中間管理者のポジションに押し上げる…、そして最終提案で経営者らしい経営者と面談する、と、それが実は、実践的なキーマン管理の流れなのではないでしょうか。“経営者は3つの顔を持つ”のです。
       
   
    【08】その新米コンサルタントも今では3つの顔を持つ
   
        当時の新米コンサルタントは、今では自分の事務所を持っていますが、やはり自分も“3役をこなすようになった”そうです。しかし、経営者としては、大変手ごわそうです…。
             
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