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なぜ今『お得ですよ』『メリットがありますよ』『損をさせません』『よい結果が出ます』などというアプローチに、顧客は興味を示さないのでしょう。なぜ今『やった方がよいに決まっている改善提案』に、顧客は乗って来ないのでしょうか。
実はそこには、非常に重要で意外に身近な“社会背景”が影響しているようなのです…。 |
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【01】たとえば“弁当”を売る場合! |
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たとえば“弁当”を売る場合、これ『おいしい弁当ですよ』と言ってしまった場合、客が買わなければ売り手は窮地に陥ります。なぜなら、その後『本当においしいです』とか、『顧客の喜びの声があります』などと、過激路線をひた走らなければならないからです。買わないのは、まさに“おいしさ”の否定(商品の全否定)で、売り手も必死にならざるを得ません。
もちろん、それでも売れることはあるでしょう。しかし、“おいしい路線”を過激にひた走っている提案者や営業者は、どんな“目”で見られているでしょうか。そして、その提案者や営業者は、買い手である顧客と、どんな“関係”になっているでしょうか。 |
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【02】“おいしい”アピール路線上の苦悩 |
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少なくとも、“おいしい路線”で顧客に喜ばれると、次もおいしくしなければなりません。次に一度でも客の期待を裏切ると『ウソつき』と呼ばれる恐怖もあります。自らを“死地”に追いこんで奮起するのは、孫子の兵法の1つのようですが、もっと普通の方法があるはずです。
たとえば『この弁当は、健康を考えご飯は五穀米ですが、食べやすくしています。(いかがですか)』だと、それを“おいしい”と思うかどうかは、客の勝手になります。食べた後『まずかったじゃないか』と言われても、『ああ、申し訳ございません。何がまずかったですか』とコミュニケーションできるでしょう。『もっとお口に合うように工夫したい』というスタンスで、顧客に接し続けられるため、次回も『(改善結果を)試してみませんか?』と、客を誘えます。 |
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【03】緊張関係ではなく友好関係の築き方? |
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『提案者や営業者は顧客と対等でなければならない』などと言われることがありますが、弁当の“内容”を説明し、“試してみませんか”と勧めるなら、対等かどうかどころか、提案者や営業者は“顧客と親しくなれる”のではないでしょうか。お友達になれるのです。
『おいしい弁当を売らなければならない。まずかったら客が離れる』と感じていた頃の“緊張関係”と比べてみてください。 |
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【04】以前は人気を博したスタイルが… |
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長年、営業と言えば『お得』『メリットがある』『良い商品』『損をさせない』など、“おいしい路線”をひた走るのが普通でした。売り手には山のように商品情報があっても、買い手には商品に関する基礎知識も情報もないため、“売り手は評価者になってあげる”必要があったからです。
そのため『私もねえ、いろんなメーカーの商品売ったけど、ここが一番いい』などというスタイルが人気を博することができたのです。 |
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【05】実際は知らないけれども気分は“その道の通”? |
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ところが、今は、申し上げるまでもなく、客にとっても“知ろうと思えば情報はあふれている”のが普通です。もちろん、今も昔も客は“商品に無知”であることが多いのですが、『お得とか、メリットがあるとか、損をさせないとか、それは私の“主観”でしょ。あなたに言われることではない』という思いを持てる状況にあるということです。
強いお兄さんが後ろにいると、それだけで強気な発言ができるように、『いつでも自分で調べられる』と感じると、詳細を知らなくても強気になれる…、それが情報化社会が人を変えた部分なのかも知れません。思い切って言ってしまうなら、情報化社会は“客の知識”そのものを変えたのではなく、ただ“気分”を変えたに過ぎないところがやっかいなのです。 |
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【06】思春期の相手に接するように… |
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そのため高度専門業では、気分は大人で知識は子供に過ぎない“思春期”のような顧客にアプローチすることが多くなります。だから『おいしいですよ』と評価で迫るのではなく、『この弁当のご飯は五穀米です。これが大人の味なのですよ』などと、顧客の知識が顧客の気分に近づくよう、“教育しながらアプローチ”する必要があるのです。
営業でアプローチをしたら、突然、客に“不当な扱いを受けた”という思いがあるなら、それは“思春期”にある客の微妙さを軽視した側の責任かも知れません。 |
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【07】マーケティングは単なる手法では成功しない! |
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マーケティングは、単なる手法やツール、あるいは“ただ情報発信をすればよい”という仕組み形成に留まらず、顧客自体を見極めながら展開するものでなければなりません。その商品、そのサービス分野では、まだ思春期に過ぎない顧客に、しっかり内容を理解してもらう、そんな配慮なしに宣伝をしても、理解されないばかりではなく、嫌われるのは当然でしょう。
気付きリードマーケティングは、そんな“顧客観察”“顧客教育”の発想から始まったものですが、それは必然的に、顧客をもっと深く観察する“コンサルティング発想”に向かいます。面倒かも知れません。しかし、顧客が明確な気付きから正確な知識を得るなら、いずれ“大人同士”の取引ができるようになるのです。
しかも、それは社会全体の“見識の底上げ”という、存在感のある活動にも、どこかできちんとつながっているはずなのです。 |
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